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会社目標を達成するに、経営者・部門長・一般社員が各々何をやるべきなのか。当たり前だが、様々な角度から順序立てて検討していかなければならない。ただ、「どのように考えれば良いのか?」という方も多いだろう。当記事では、経営者・部門長・一般社員がそれぞれやるべき事を決める際に、どのようなプロセスを経ているのかを解説していこうと思う。
やるべき事が正しく決定すれば、会社組織として機能し、会社全体が成長に向かっていく。成長を続けている会社が実践している事とは何か。気合やコミュニケーションだけでは限度がある。時間を作って是非実践して欲しい。
個の力がシナジーを生み出し、大きな結果を生み出すような会社組織となるには、全員が同じ方向を向いて業務に従事していなければならない。要するに、目標を全員が理解し、明確な役割分担の元、迷いなく行動している状態だ。やみくもに「目標はこれだ」と伝えたとしても、上手くいかない。
下記のプロセスを遵守して、会社全体でやるべき事を決めていこう。
図にあるように、まず経営者からスタートする。経営者が会社全体の目標を決め、現状分析→ギャップ把握→施策決定→計画策定と進めていく。
次に各部署に落とし込んでいく。ちなみに会社計画の中で部署目標は設定されている。そのため、各部署は設定されている部署目標をもとに、現状分析→ギャップ把握→施策決定→計画策定と進める。
最後に個人単位まで落とし込んでいく。ここでも部署計画の中で、個人目標は設定されている。そのため、個々の社員は、設定された個人目標を達成するために、現状分析→ギャップ把握→施策決定→計画策定と進める。
このように、全社→部署→個人とプロセスを踏んでいこう。それでは経営者・部門長・一般社員がどういった観点で検討すべきか、を解説していく。
経営者が決めたことが会社の起点になる。そのため、じっくり時間をかけて、またあまり変更しないようにしたい。起点となる事柄がブレていたら、社員は戸惑ってしまうからだ。
◆経営者が決定・認識すべきプロセス
①会社目標の設定 ⇒
②会社の現状分析 ⇒
③会社目標と現状のギャップ把握 ⇒
④ギャップを埋めるための施策立案 ⇒
⑤施策実行の為の会社計画(=部署目標)設定
では①~⑤の各項目で、どのような観点を持てばいいのか。
会社目標の設定は、その会社が今後どのようになっていくのかを左右する、非常に重要なフェーズである。そのため、経営者の方は時間をかけてしっかりと目標設定を行って欲しい。
それではまず会社目標とは何か。短期・中期・長期目標に分けられるが、こう定義する。
会社目標とは、定めた期間内で『最終的にあるべき』状態、を指す
それでは会社目標はどのように決めるのか。売上目標だけでは不十分だ。
会社目標を決める際は、自社にとって重要となる経営資源は何か、という観点を持とう。
会社の経営資源とは、会社経営の際に重要な要素である『ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産』を指す。下記具体例を挙げる。
ヒト:人材を指す。会社経営の中で、最も重要な要素となる。役社員・業務委託・ビジネスパートナーなど、会社に関わる人全員を指す。
モノ:会社が所有するべき有形物を指す。企業活動をする上で必要なオフィス・社用車・パソコン・オフィスツールに加えて、企業の製品そのものを含める。
カネ:企業の資金のこと。自由に使えるキャッシュに加え、返済義務がある資金・債権・株式のような金融資産を含める。
情報:情報とは、『顧客情報』『ノウハウ』『市場分析データ』など、営業活動やマーケティングにおいて必須な情報全てを指す。
時間:企業活動を行う上で必要な時間。会議・教育・営業活動・商品開発などに費やす時間全てを指す。
知的財産:商標権、商号、自社ブランドなど、目に見えないが企業活動において必要な経営資源を指す。
それでは具体的に会社目標を設定していこう。例えば短期目標(年間目標)を設定する場合。上記にあるように、「自社にとって重要な経営資源」を認識したうえで、目標を設定すればいい。
会社目標設定例:
【期間】来期1年間での目標
【目標】社員5名純増(ヒト視点)・年商2億円(カネ視点)・取引顧客100社(情報視点)
上記のように、ヒト・カネ・情報視点で目標を設定してみたが、会社によって様々な目標を設定する。
注意して欲しいのは、各目標は、他の目標のHOW(方法・手段)になってはいけない、という事だ。例えば、年商2億円という目標達成のためには、営業マン10名採用する必要があるとする。つまり、年商2億円が目標で、営業マン10名採用がHOWとなるので、営業マン10名採用は、目標にはなり得ない。このように、ある目標と、ある手段が同じ内容となる事を避けないと、今後施策・計画を策定する際に責任の所在や行動内容にダブりが生じるので気をつけてほしい。MECE(漏れなく・ダブりなく)を意識する事。
ちなみに目標設定の際、年商”2億円”、社員純増”5名”に根拠は不要である。なりたい状態を設定すれば良い。もちろん、現状とかけ離れすぎている目標を設定すると、出来ない言い訳を作ってしまう。ただ、少し背伸びをした目標を設定して欲しい。「この目標だったら、普通に達成しそうだな」という目標を設定すると、無意識のうちにそれ以上の力を発揮しないで終えてしまう。
会社目標を設定出来たら、次は会社が現在どの様な状態なのかを認識する必要がある。現状分析とは、「比較対象をもとに、現状はどうなのか」というものなので、必ず会社目標を設定してから現状分析を行うこと。
現状分析に関しては、会社目標が設定出来ていれば簡単に行える。会社目標で設定した項目(例えば年商・採用人数・取引顧客数など)が、現在どの様な状態かを調査すれば良い。そこで目標との差異を正しく認識する事で、施策内容や、施策の優先順位を決める事が出来る。
会社目標設定と、現状分析が出来たら、そのギャップを認識する。このギャップを埋める事こそが、目標達成の為には不可欠だ。ギャップに関しては、なるべく定量的に算出し、日々後追い出来るような管理体制を作っていこう。
それではギャップを認識したうえで、そのギャップを埋め、目標を達成するための施策を検討するには何をすべきか。
①目標達成のためにこれまで実際に行った施策を洗い出す
②生じているギャップを埋めるために、既存施策の強化・新規施策の立案を行う
③本当にその施策で目標達成出来るのか、を確認する
このように、これまで行ってきた施策を紙に洗い出して欲しい。売上を上げるには何をしたのか、採用活動では何をしたのか、といったように、各目標項目に対して具体的施策を書き出す。そして既存施策強化・新規施策立案を行い、必ず達成出来る施策になっている事を確認しよう。
そして決まった施策は可視化して、いつでも確認出来るようにすること。そこで使って欲しいのが、施策ツリーだ。
このように、目標・不足を軸に、大施策⇒中施策⇒(小施策)⇒行動内容と落とし込んでいく。この例は非常に簡単に作成しているが、数値や、より具体的な行動を入れ込んでいったら良い。必ずMECE(もれなく、ダブり無く)にする事だ。
上記のイメージ図は分かりやすく、簡単な記載としたが、実際はもっと細かく作っていけば良い。
大きな目標に対して何をすべきか、と言われてもぱっと思い浮かばないと思うが、細かくブレイクダウンしていく事で身近なイメージがつくようになるので、施策や行動も思いつくようになるのだ。
施策内容が決まれば、次に優先順位をつけていく。限りある時間の中で、全ての施策を同時並行して行うわけではない。優先順位のつけ方は、下記のルールに従えばいい。
◆施策優先順位
重要度高 目標に対して即効性があり、効果が大きい
目標に対して即効性があるが、効果は少ない
目標に対して即効性は無いが、効果が大きい
重要度低 目標に対して即効性は無く、効果は小さい
ここまで出来れば最後に会社計画を策定していこう。
計画策定の際に設定すべき事は、『責任者』『期限』の2つ。計画はどのように行動すべきか、を具体的に記載したものだ。
つまり会社計画では、責任者(経営者or部門長)、期限(何月までに何をすべきか)を設定すれば良い。会社計画において責任者が部門長の場合、その会社計画内容=部署目標となる。
こちらも簡単に可視化してあげれば、確認する際に分かりやすい。実際は数値や行動内容をより具体的に記載していく。
【アクションプラン】
部門長は部署の責任者となる。上記で述べたように、会社計画で部署目標も決まってくる。その目標達成の為に何をすべきかを練っていこう。
◆部門長が決定・認識すべきプロセス
①部署目標の認識 ⇒
②部署の現状分析 ⇒
③部署目標と現状のギャップ把握 ⇒
④ギャップを埋めるための施策立案 ⇒
⑤施策実行の為の部署計画設定
それでは①~⑤について解説していく。
繰り返しとなるが、部署目標は会社計画から降ってくる。そのため、部門長は自部署が責任を持つ目標を認識すれば良い。あまりにも目標数値が非現実的な場合は、経営者と話し合って、目標の修正を行っていこう。
部署の現状分析方法は、会社全体の現状分析方法で解説したことと同様に進めれば良い。部署目標で設定した項目(例えば年商・採用人数・取引顧客数など)が、現在どの様な状態かを調査する。そこで目標との差異を正しく認識する事で、施策内容や、施策の優先順位を決める事が出来る。
これも会社目標と現状のギャップで解説したように進めれば良い。このギャップを埋める事こそが、部署目標達成の為には不可欠だ。ギャップに関しては、なるべく定量的に算出し、日々後追い出来るような管理体制を作っていこう。
こちらも会社施策を決める際と同様に進めれば良い。施策ツリーを作成して、行動内容まで決めていこう。
計画策定の際に設定すべき事は、『責任者』『期限』の2つであると述べた。ここは意識して作成して欲しい。そして部署計画では、各社員一人一人の目標を記載する。
上記のように、部署計画には、個人社員名を記載して数字で落とし込んでいく。
各部署に所属している社員は、部署計画で設定された内容が、個人目標となる。その目標達成の為に何をすべきかを解説する。
◆一般社員が決定・認識すべきプロセス
①個人目標の認識 ⇒
②自分自身の現状分析 ⇒
③個人目標と現状のギャップ把握 ⇒
④ギャップを埋めるための施策立案 ⇒
⑤施策実行の為の個人計画設定
①~③に関しては、これまで解説した思考と同じなので省略する。個人においては⑤個人計画策定の部分が一番重要であるので、この点について解説する。
これまで計画策定について解説したが、個人計画に関しては責任者は自分しかいない。そこで、個人計画策定においては、『KPI』『期限』『詳細な行動内容』の3つを記載していこう。
KPIとは、Key Performance Indicatorの略であり、目標達成の為に追うべき指標を指す。ずばりKPIの設定方法は、下記の通りだ。
①業務プロセスを書き出す
②各フェーズの(※)歩留まり計算を行う
③目標から逆算して、各フェーズの数値を計算する
④その数値がKPIとなる
例えば、投資用不動産営業マンが、成約数10件達成するためのKPIを考える。
①業務プロセスを書き出す
電話営業⇒アポ獲得⇒見込み顧客化⇒再訪問⇒成約
②各フェーズの歩留まりを計算する
電話営業⇒アポ獲得(20%)
アポ獲得⇒見込み顧客化(50%)
見込み顧客化⇒再訪問(50%)
再訪問⇒成約(10%)
③目標から逆算して、各フェーズの数値を計算する
成約数10件⇒再訪問100件必要
再訪問100件⇒見込み顧客化200件必要
見込み顧客化200件⇒アポ獲得400件必要
アポ獲得400件⇒電話営業2,000件必要
④その数値がKPIとなる
つまり、電話営業2,000件/アポ獲得400件/見込み顧客化200件/再訪問100件をKPIに設定する。そしてどのKPIを追うべきかを状況に応じて判断していこう。
※歩留まり計算とは、全体でいくら残るか、という割合計算のことである。例えば100件営業をして10件成約に至る場合、歩留まりとしては10%となる。逆算して考えると、成約数10件を達成するには、営業活動100件が必要という事が、歩留まり計算によって判明する。KPIは目標から逆算して設定するため、歩留まり計算という考え方が必須だ。
このように経営者⇒部門長⇒個々の社員へ落とし込んでいく事で、会社組織として同じ方向を向いて行動する事が出来る。是非実践していただきたい。