人材採用2023.06.14

キャリア採用とは？中途採用との違いやメリット・デメリットについて解説

現在日本では労働人口が減少傾向にあります。そのため、キャリア採用という言葉も再注目されています。企業成長には優秀な人材の採用は必須となりますので、キャリア採用とは何か、どのように成功させるのかをここでは解説していきます。これから採用に注力していきたい企業は必ずチェックしてください。

キャリア採用とは

まずキャリア採用の定義から説明します。キャリア採用とは、自社の即戦力となる人材を採用する事です。即戦力とは、『入社してすぐに成果を出せる人材』であり、自社で教育をする必要性がほとんど無い水準の人材を指します。そのような即戦力人材とは、自社の業務をすでに経験しており、競合他社から転職して入社するケースが多いです。

このような即戦力を採用するキャリア採用を行う事は、企業が短期間で成長するには必須であり、採用戦略をきちんと練っていかなければなりません。

中途採用との違い

よく聞く中途採用との違いは何なのでしょうか。まず中途採用とはもっと広義的です。下記の図をイメージすると分かりやすいかと思います。

図の様に、中途採用のカテゴリーの中に『キャリア採用』『第二新卒採用』『未経験採用』が含まれます。即戦力クラスの人材を採用する中途採用のことを『キャリア採用』、社会人歴が3年未満と浅い人材の採用を『第二新卒採用』、それ以外の未経験者の採用を『未経験採用』と言います。

即戦力になるスキル・職務経験をもつ人材の採用

人材不足で企業間競争が激しい現代では、キャリア採用を通して優秀な人材を獲得する必要性が高まっています。即戦力とは自社にとってどのような人材なのか、どうすれば優秀な人材が採用出来るのか、という視点は、新卒採用や未経験採用とはまた違った考え方が必要となります。

現在、多くの企業でキャリア採用を実施していますが、大手企業は新卒から数年かけて育てていく傾向が強く残っています。一方で中堅～中小企業に関しては、教育にかけるリソースも少なく、短期間での成長を求められているので、キャリア採用を実施している会社が多くみられます。中堅～中小企業が大手に勝つためには、キャリア採用は避けては通れない戦略の一つと言えるでしょう。

キャリア採用が注目されている背景とは？

現代日本では、少子高齢化が進んでおります。厚生労働省の報告では、労働力人口（15 歳以上人口のうち，就業者と完全失業者を合わせた人口）は，2021 年平均 で 6860 万人となっており、2020年に比べて８万人の減少となっています。雇用したい企業側に対して、労働者側の数が減っている為、未経験であっても採用せざるを得ない状況になっています。

そんな中で、即戦力採用となるキャリア採用は非常に魅力的な戦略であり、各企業がどのようにして優秀な人材を確保するのかを日々検討しています。

ただ、昔の日本のような終身雇制度を実施している企業も減っている影響から、求職者側も積極的に転職活動をするような時代となりました。そのため、優秀な人材が1社で定年まで勤めあげる事は減っており、転職市場に数多くの人材が出てきています。多くの即戦力クラスの人材も転職市場に出てきていると言えます。

キャリア採用のメリットとは？

キャリア採用には多くのメリットがあります。ここではキャリア採用が成功した場合に、企業が得られるメリットをご紹介します。

事業成長の速度が速くなる

一番のメリットはこれかと思います。
普通未経験者を採用した場合には、約3年程度の教育期間がかかると言われています。教育したにも関わらず、3年後に退職してしまったり、3年たっても成果が出ない社員がいたりと、未経験採用には多くのリスクが存在します。

一方で即戦力採用の場合は、すでに他社で実績・経験を積んだ人材であるので、自社に入社した際にも何が出来るのかが非常に明確になりやすいです。そのため、自社のやり方を少し習得してもらえれば、すぐに成果を期待できます。最近だとM＆A等の手法を用いて会社ごと買収する事で、優秀な人材を確保するやり方もあります。

企業の成長の根幹は人材である以上、このような即戦力で優秀な人材を採用する事は、事業成長に大きく貢献すると言えます。

教育コスト削減

未経験や新卒・第二新卒を採用すると、必ず教育を行わなければなりません。
座学やOJTなど、成長するために適した教育方法を見つけて、各社員に提供します。それでも成長しない人材もいるでしょうし、成長したと思ったら転職してしまう事もあります。
しかしながら、即戦力クラスの人材を採用できた場合、一から教育する必要性は無く、自社のやり方に慣れてもらう事ですぐに成果を期待できます。このように教育コストを削減できるという事は、教育に割くコストを削減するだけでなく、短期間での成果を見込めます。

社内にない新しい知識・ノウハウの吸収

即戦力クラスの人材は競合他社出身の場合が多いです。
同じ業態でも、会社が変わればやり方も変わります。そのため、他社のノウハウや情報、やり方を自社に取り入れる事が出来るので、新しいシナジーを創出する事が期待出来ます。逆に社員に対して教育してくれる事もあるので、大きな変革となりえます。

組織の健全な活性化に繋がる

キャリア採用によって入社した即戦力クラスの人材は、自社にとって新しい風となりえます。
考え方や経験、業務スタイルやスキルセットなど、同業他社出身であっても違いは生まれます。そのため、新しい人材が入社する事で、既存の社員たちも新し気持ちを抱くこととなり、モチベーションの向上にも役立ちます。

さらに即戦力クラスとなると、いきなりマネージャーなどの管理職に就く事もあります。そのため、管理方法や部下との接し方などは、特に違いが生まれやすいと言えます。柔軟な変化が求められる時代なので、自社に新しい風が吹く事で、既存社員にもいい効果が期待できます。

キャリア採用のデメリットとは？

これまでキャリア採用のメリットを話してきましたが、今後デメリットについても話していこうと思います。デメリットも認識する事で、自社がキャリア採用を実施した際の効果がイメージしやすくなります。

給与相場が高い

一番ネックになる部分がお金です。未経験者採用と比較しても、相対的に高くなります。
競合他社の選考も進んでいる可能性が高いので、最終的にいくら給与を出せるのか、という部分が優秀な人材獲得競争に勝つ為には必要です。

給与の決め方ですが、

・社内で同等の役職・業務の社員平均給与
・業界のトレンドを鑑みた給与

を意識しなければなりません。給与設定は高すぎても既存社員からの不満が出ますし、低すぎると採用できません。そのため、採用出来る水準の給与で、且つちょうど良い給与水準を設定しなければならないのです。

繰り返しになりますが、未経験採用や第二新卒採用と比較すると給与は高くなります。専門職であれば、より高給取りが多くなってきます。
ただ、中長期的にみると、ほとんどの場合はペイ出来ますので、問題ありません。教育コストは比較的少なく済みますし、成果を出すまでの期間も短くなります。そのため、キャリア採用にかける予算は社内できちんと準備しておかなければなりません。

企業文化・風土とのミスマッチが起きる可能性

キャリア採用にて一番多い失敗例が『カルチャーフィットしなかった』というケースとなります。
即戦力クラスの人材は、自分の能力に自信を持っている場合が多く、新しい会社でのやり方に抵抗感を示す場合があります。その場合、会社全体の輪を乱す事にもなり、社員のモチベーションの低下の原因となりえます。即戦力クラスの人材は、スキル・経験がマッチしていたとしても、必ず人物面で『環境に馴染み、柔軟に対応・吸収出来る人材』であるかどうかを確認しましょう。

性格面の判断方法としては、WEBテストを行う場合と、飲み会等でざっくばらんに話す事で判断する場合とがあります。両方を使って、最終的に複数の面接官の意見を聞いたうえで採用するかどうかを決定すれば、ある程度社風のミスマッチは防ぐ事が出来ると思います。

長期間在籍しない可能性

優秀な人材は、常に競合他社からの引き抜きリスクがあります。
他社が現給2割UPを提示すれば、誰でも心が揺れ動く事でしょう。ただ、給与競争のみで引き留めておく事には限界が来ます。最終的には当人が自社で働く事に魅力を感じている状態に持っていかなければなりません。社員の定着率を向上させる為には、社内環境の整備が必要です。
社内の人間同士では本音が出てこない場合、コンサルティングファームを活用するなど、第3者が介入する事で会社の実態が分かる事があります。社員が何を求めているのかをしっかり経営者は把握して、社員定着率向上に努めなければなりません。

まとめ

今回は「キャリア採用とは？中途採用との違いやメリット・デメリットについて」ということで解説してきました。
キャリア採用は、自社の即戦力となる人材を採用することで、事業成長に大きく貢献することや教育コストの削減など様々なメリットがありますが、その反面、採用した人材が企業文化・風土に馴染めないことによるモチベーションの低下や、他社からの引き抜き、早期退職などのデメリットがあるので注意が必要です。

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