プロ人材の転職支援・戦略人事サービス/個人・企業の成長を人材基点で支援する株式会社トラフォールパートナーズ
リファラルとは推薦する・紹介するという意味が含まれます。つまりリファラル採用とは、自社関係者(役社員・協業先など)が自社に人材を紹介・推薦する制度のことを指します。
昨今のアメリカでは広く取り入れられており、日本でもリファラル採用のメリットを認識した企業が、実践し始めています。今後もリファラル採用の波は加速していくと予想されており、やり方やコツを押さえておくことが重要となります。
両者では目的が大きく異なってきます。
リファラル採用に関しては、採用目標数を達成するための母集団形成となります。
一方で縁故採用に関しては、採用することを前提の上で選考を進めます。面接自体を行わないケースもあります。世間で言われているコネ入社と言われるものは、縁故採用にあたります。縁故採用は採用コストが少ない事があげられますが、社外・既存社員から不公平と感じられるリスクもあるので、採用ルールを上手く設計しなければなりません。
リファラル採用のフローを考察すると、注目されるべき背景が見えてきます。リファラル採用のフローは下記のようになります。
まず知り合いに声がけをします。元々知り合いであれば、自社のカルチャーと大きく外れる様な人材に声掛けはしないはずです。そのため、採用企業側としても、面接の際に、人となり面での懸念点は少なくなります。また、応募検討~内定まで紹介者が最後までフォローするので、応募者にとって安心材料となるでしょう。それではもう少し具体的に、リファラル採用が注目されている3つの理由を説明します。
元々知り合いであれば、自社のカルチャーと大きく外れる様な人材に声掛けはしないはずです。また、紹介者が最後までフォローしてくれる事は、応募者にとっても安心材料となるでしょう。もう少し具体的に、リファラル採用が注目されている3つの理由を説明します。
通常の採用活動では、対象者は基本的に入社希望者が中心となります。
その為、色々な会社の情報を収集し、人材エージェントの支援を受けながら、あらゆる可能性を求めて就職・転職活動をしている人材が対象となります。つまり比較対象となる競合他社に勝たないと、採用まで至らないという事です。現在の人手不足の現状・有効求人倍率が増加している現状を鑑みると、相当なリソースを割かないと、人材獲得競争には勝てないという事になります。特に知名度の低い中小企業や新興企業に関しては、相当苦労が予想されています。
『入社希望者:採用企業=1:多数』の構造になります。
一方でリファラル採用の対象者は、転職希望者だけではありません。
対象者はあくまでも自社社員の知り合いの中で、自社カルチャーにフィットしそうな方です。つまり、転職活動を希望していない、若しくはまだ始めていない人材も対象に含まれます。このような人材は、人材エージェントを使っている割合は少なく、競合他社との比較検討をする人は少数派です。その為、『紹介された会社に入りたいかどうか』が 決め手となります。ここでは『入社希望者:採用企業=1:1』の構造になります。
自社採用力の強化を進める事は、企業成長には不可欠です。ここでの採用力とは、『自社に必要な人材を質・量ともに獲得出来る力』となります。それでは採用力強化とは何をすべきでしょうか。
採用力強化の為には、
・対象となる人材にコンタクトを取り、母集団の形成を図る
・自社に興味・関心を持ってもらえるようなアプローチをする
・内定承諾率を上げる
上記の観点が必要となります。リファラル採用はこれらの観点を全て満たした採用活動の手段と言えます。社員全員がリファラル採用に積極的な会社は、それだけで全応募の3割~4割を計算する事が出来ます。また自社への興味・関心も高く、内定承諾率も通常選考と比較して高い傾向があります。それは、知り合いから紹介されたという安心感や、思い入れが生まれる事が大きな理由でしょう。
ちなみに採用活動としての手段は、リファラル採用以外にも下記が考えられます。
【採用活動としての手段】
・自社HPからの流入
・採用イベントの開催
・人材エージェントの活用
・求人掲載サービスの活用
・スカウトサービスの活用
・ダイレクトリクルーティング
各々メリットはありますが、その中でもリファラル採用は採用力強化の観点では、最も重要な手段の一つとされています。
企業が採用をする目的は、社員数を増やして企業成長を図るためです。採用活動において追うべき指標は、年間採用数だけでは不十分です。より重要な指標は、社員純増数となります。つまり、採用数>離職数になっているか、をチェックするのです。それでは離職数を減らすには何をすべきでしょうか。その一手段として、リファラル採用は役立ちます。
まず社員が離職する原因を知る必要があります。下記にまとめておきます。
社員が離職する3大原因
・職場環境が合わない(上司・部下との関係性)
・仕事内容が合わない(能力面・希望業務でない)
・労働条件が希望と違う(勤務時間・給与)
※参照:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」
これら離職する原因は、入社前段階である程度対策を打つことが出来るものではないでしょうか。曲馬環境・仕事内容・労働条件全て、会社理解に基づくものです。
通常選考では、採用側は「この人材を何とか採用したいので、自社を魅力的にアピールしないといけない」と構え、応募者側も「この会社から内定をもらうためには、マッチした人材と思ってもらわないといけない」と準備します。そのため、本音や実情をお互い捉える事なく、入社に至るケースも多く存在します。
一方でリファラル採用では、知り合いからの紹介で繋がった関係性であるので、構える事なく、ありのままを企業側・応募者側ともに見せ合う環境作りがしやすくなります。応募者側も「知り合いからの紹介なので、不義理には出来ない」といった思い入れも生じます。
そのため、3大離職原因の対策が入社前段階で出来ると言えます。
結果的にリファラル採用で入社した人材は、離職率は低くなる傾向にあります。
リファラル採用には既述した通り、様々なメリットがあります。ここでは詳細を解説していきます。
リファラル採用では、基本的に社内のリソースを活用して実施するため、金額面での採用コスト(費用)はかなり抑える事が出来ます。採用活動を外注した場合(人材紹介会社活用・求人掲載サービスの活用・スカウトサービスの活用)と比較して考えてみます。
上記からも一目瞭然ですが、リファラル採用は、通常採用活動と比較すると、かなり費用を抑える事が出来ます。1名あたりの採用で、50万円~300万円程度費用を抑える事が出来るので、10名、20名と採用をすると非常に大きなコストカットが出来ると言えます。
これもリファラル採用の大きな特徴と言えます。それでは通常採用活動とリファラル採用の比較をしてみます。
まず通常の採用活動と言えば、『採用イベントで集客』『人材紹介会社を活用』『求人掲載サービスを活用』『スカウトサービスを活用』などがある事は述べてきました。こういった手段を通して接触する人材は、「就職したい・転職したい」という気持ちが高まっています。なぜなら『採用イベント』『人材紹介会社』『求人掲載サービス』全てが、転職顕在層(転職したい人)を集客して、企業と繋げるサービスだからです。もちろん転職顕在層との接触には、すぐに入社してくれる可能性がある、というメリットがあります。一方で、転職顕在層は色々な会社と接触しているので、競合他社も同様にアプローチしています。結果的に、せっかく内定を出したにも関わらず、他社へ入社してしまうという可能性も高まります。
次にリファラル採用ですが、対象者は『自社の社員の知り合い』になります。転職活動の意欲があるかどうか、は関係ないという事です。つまり、転職潜在層へのアプローチが可能です。転職潜在層へアプローチをするメリットをまとめます。
転職潜在層へアプローチするメリット
①競合他社が少ない
②顕在層と比較して内定承諾率が高い
③時間をかけてアプローチが出来る
④転職サービスを使わない層にアプローチ出来る
⑤思いがけない優秀な人材に出会える
①競合他社が少ない
転職顕在層は、良い会社に転職するために情報収集を図り、様々な企業と接触をしています。そのため、どれだけ自社が魅力をアピールしたとしても、それ以上に魅力的な会社が出てくれば、内定承諾はしてくれません。また色々な会社を見ている以上、「どこの会社に入社しようかな」と迷いも大きくなっていきます。口説き落とすためには多方面でのアプローチ・工夫が必要になるのです。
一方で転職潜在層はそもそも「転職したい」と明確になっていません。積極的に企業と接触していないので、自社の魅力をきちんと伝える事が出来れば、「この会社に入社したい」と即決してくれる事もあり得ます。
②顕在層と比較して内定承諾率が高い
内定承諾率とは、内定を出してその内定を受諾する割合のことです。内定を辞退してしまう理由は、主に『他社に入社するため』『現職に残るため』の2つの原因が考えられます。そのため、この2つの原因を解決する事が、内定承諾率の向上に繋がります。リファラル採用の場合は、上記①で説明したように競合他社が非常に少ないので、『他社に入社する』という原因を解決する事が出来ます。結果的に内定承諾率が上がります。ライバルは現職なので、現職に残るか自社に入社するか、という選択軸で負けないような工夫をしていきましょう。
③時間をかけてアプローチが出来る
これも大きなメリットとなります。転職活動を本格的にしている人には『期限』がつきものです。期限とは、「9月までには内定が欲しい」「他社から内定をもらったので、回答期限が来週いっぱいまでです」といったケースを指します。採用活動では決まった期限内でいかに自社をアピールできるか、という事が重要ですが、この期限が転職潜在層にはありません。そのため、時間をかけて、会食・セミナー・カジュアル面談などあらゆる手段を使ってアプローチが出来ます。しっかり時間をかけて自社理解してもらえるので、納得感をもって入社してもらえます。入社後のギャップも少なくなりますので、結果的に短期離職も防ぐことが出来ます。
④転職サービスを使わない層にアプローチ出来る
人材エージェントなどの転職支援サービスを使わない層は一定数存在します。こういった方々は、転職したい時には自ら情報を収集して、直接企業へ応募します。転職潜在層の中には、実際転職したいと思っていても転職市場に出てこない方がいるという事です。この層にアプローチ出来る事も大きなメリットとなります。
⑤思いがけない優秀な人材に出会える
欲しい人材像を明確にしてから候補者を探すのが通常ですが、欲しい人物像に抜け漏れがある可能性があります。例えば「営業経験がある25歳~35歳を採用しよう」と計画したが、実は営業経験が無くてもパソコンスキルとコミュニケーション能力があれば活躍出来るようなケースです。このような気づきは、なかなか普段では得られません。しかしながら、リファラル採用では幅広い経歴を持った人材が集まってきます。普段採用活動を行う際には狙わない人材も来ることがあります。そういった方は、通常選考であれば書類選考時点でお見送りとなりますが、リファラル採用で転職潜在層となれば、時間をかけて相互理解をする環境があります。結果的に「この人材は自社にマッチするかもしれない」という気付きを得る事も出来ます。
理想的な人材とは、会社が求める成果を達成可能で、且つ会社のカルチャーに共感出来る人材です。採用活動では、理想の人材に近い応募者かどうかを見極めないといけません。成果を出せる人材かどうかは、今まで経験してきたことや、取得済みの資格を確認すればある程度判断できます。
一方で、会社のカルチャーに合うかどうかは、その人物の人となり・性格をよく理解しなければなりません。しかし、通常の採用面接では、本音で話す雰囲気を作るのは困難であり、どのような性格なのかを理解する事は至難の業です。
リファラル採用では、時間をかけて、じっくり応募者を理解する事が出来ます。また、人となり・性格面は、面接を通しての理解は非常に難しいのですが、リファラル採用では社内の紹介者から、信頼できる情報を事前に受け取る事が出来ます。その情報は、会社のカルチャーに合った人材かどうか、を判断する大きな役割を果たすものとなります。リファラル採用は、応募者の性格を事前に知る事が出来る、大変選考に役立つ手段と言えます。
リファラル採用を通して応募してきた人材は、会社にマッチする可能性は高くなります。なぜなら自社を良く理解している社員のフィルターを通過した人材だからです。「自社にこの人はマッチするだろうか」「自社で働く事で、この人は幸せになるだろうか」と必ず考え、紹介に至るという事です。
また、自分が働いている会社に知り合いを誘うという事は、紹介者である社員は愛社精神を持っている割合も高い傾向にあります。そこでは自社を魅力的に説明してくれているので、初期段階から志望度が上がっている応募者も多いです。
次にエンゲージメントについてです。従業員エンゲージメントとは、「会社に貢献したい」「どうすれば役立てるだろうか」という自発的な意欲のことを指します。愛社精神とも近い考え方です。応募者は、紹介された人を見習うことが多いため、自然とエンゲージメントは向上していきます。
紹介する側は、対象者に対して自社で働く意味・魅力を分かりやすく伝えてあげる必要があります。普段仕事をする中では、「自分の会社で働く魅力は何なのか」「なんでこの会社で働いているのか」と振り返る機会は多くありません。そこで改めて他人に説明するために、自社の魅力・働く意味を振り返るのです。話しているうちに、自身の気づき・発見が生まれる事があります。これまでのキャリアの整理・これからのキャリア設計を考えるきっかけにもなるので、紹介者にとっても大きなメリットがあると言えます。
これまでリファラル採用のメリットについて話してきましたが、もちろんデメリットも存在します。メリットだけでなく、きちんとデメリットも理解する事で、リファラル採用を推進すべきかどうか、という経営判断に役立てていただければと思います。
リファラル採用の特徴は、自社の社員と、元々知り合い・友人関係にある人材を扱う事です。そのため、通常選考には無い注意点が発生します。そもそもリファラル採用は、採用することを前提としていないので、場合によっては不採用になる事もあります。その際には、紹介者と応募者の関係性に傷をつけないような配慮が必要になります。
不採用になった際には、応募者に対して自社に関心をもってくれた事に対する御礼をお伝えしてください。通常選考以上に真摯かつ丁寧に対応をしなければなりません。
また紹介者に対しても、なぜ不採用になったのか、マッチしなかった点は何なのかを丁寧に説明し、採用担当者からお礼を伝えるなど、丁寧なフォローをしてあげる事が重要です。
仮に採用に至った場合も、紹介者・応募者間での人間関係には注意が必要です。これまで友人関係だった間柄から、仕事場の同僚になるため、関係性にも変化が生じます。
お互い友人・知人として理解はしているものの、一緒に働いたことはありません。そのため、「えっ、仕事ではこんな感じなんだ」といった感情が生まれる事があります。またプライベートでは許せる事も、仕事となれば看過できない事もあるでしょう。仕事に対する考え方が異なる事で、衝突するかもしれません。このようなケースは、プライベートでの関係性が悪くなってしまいます。
また別のケースとして、紹介者・応募者の仲が良すぎて、仕事上の緊張感・モチベーションが維持できなくなる事があります。生産性が落ち込んでしまったり、どちらかの退職によって、もう片方も退職するという可能性もあります。
その為、採用後の人材配置では工夫が必要です。紹介者の所属チームとは別のチームに配属させるなどの配慮をすべきであると言えます。
リファラル採用は、まだまだ日本企業に浸透しきっていません。その企業で働く社員にとっては、更に「リファラル採用ってなに?」という状況となります。時間をかけてリファラル採用を浸透させていくことが重要です。
リファラル採用の推進をするためには、3つのポイントを意識してください。
【3ポイント】リファラル採用推進のために
①会社施策として、リファラル採用推進を掲げる
②リマインド・活動進捗を全社員に日々発信する
③社員の協力を得るための制度・工夫をする
①会社施策として、リファラル採用推進を掲げる
リファラル採用を会社の方針として進める事を、正式に全社員へ発信することから始めてください。リファラル採用の成功は、自社の全社員にかかっています。そのため、全社員にまずは「リファラル採用を会社が重要な施策として進めるんだな」と認識させる必要があります。発信する際には、リファラル採用の進め方・重要性を分かりやすく社長・役員から伝えてください。
またリファラル採用施策は、会社主導で行ってください。現場レベルに任せてしまうと、日々の業務を優先することになるので、進捗が遅れてしまいます。現場の管理職も、自部署の成果を優先する事になるでしょう。人事部所属の社員にリファラル採用担当を設けたり、新しくリファラル採用推進チームを創設する事も有効となります。
②リマインド・活動進捗を全社員に日々発信する
リファラル採用を会社の風土として定着させるには、日々リマインドして、全社員の頭にリファラル採用を定着させていく事が重要です。また事例として、どのようなケースがあったのかを共有する必要があります。「このようにすればいいのか」と全社員にイメージさせてあげるのです。
発信の仕方としては、毎日メールで発信する・朝礼や夕礼で共有する・掲示板で情報記載するなど色々考えられます。その為、エンゲージ(愛社精神)が高い社員を中心に進めて、まずは事例を作る事も重要な観点となります。
③社員の協力を得るための制度・工夫をする
既述した通り、リファラル採用の成功には、全社員の協力が不可欠となります。その為、社員のモチベーションを高く維持させなければなりません。モチベーションのあげ方はそれぞれですが、例えば『紹介報酬制度の設定』『人事評価に組み入れる』『貢献社員への表彰』などが考えられます。
各社どのような制度が社員のモチベーションに繋がるのかを分析して、制度を設計する事が大事です。
採用状況の可視化とは、リファラル採用における各フェーズにおける進捗のことです。
【リファラル採用における各フェーズ】
上記のイメージ図のように、リファラル採用においては、各フェーズの数値を把握して進めないと、目標となる人数を採用するためのマネジメントは出来ません。その為、最低でも毎月、今どのような状況なのかを把握して、適宜改善策を打たなければなりません。また社員に対して状況を伝えるためにも、各フェーズの数字を把握する事は有効です。
リファラル採用の特徴としては、ターゲットが転職潜在層も含めているという事です。つまり、「転職したい」と積極的になっていない人を、自社に転職させる気持ちにさせなければなりません。
その為、初めて接触してから半年以上、場合によっては1年以上かけて口説き落とす必要があります。リファラル採用では、通常の採用活動と違って長期的な目線も必要である事を認識する事が大事です。
リファラル採用を通して紹介してくれた社員に対して、金銭面での報酬を与えるものです。社員にとっては分かりやすく、嬉しい制度だと思いますので、大変有効な制度となります。報酬の相場は、10万円~30万円となります。金額設定に関しては、人材紹介会社や求人掲載を活用した場合にかかる費用よりは抑えましょう。あまりに高額な報酬となると、職業安定法第40条に違反する可能性が出てきます。
職業安定法40条では、採用において、報酬を社員に与える事は原則禁止としています。しかし、賃金や給与として支払う場合は例外として認められています。その為、業務の一要素として評価して、報酬を支払う事は可能という事です。このことからも、紹介報酬の金額は、あまりにも高い金額だと違法と判断される可能性があるという事です。
応募者側は転職潜在層が多い傾向があります。その為、応募前には、紹介者とゆっくり話し合う機会が多くなります。話し合う環境も積極的に会社が用意してあげる事は有効となるでしょう。具体的には会食を設定してあげる(会食費用を負担してあげる)という事です。どういう場面であれば会食費として申請可能か、を制度として設計してあげてください。
例えば、どのフェーズにある人材かによって、会食可能な回数を設定する会社もあります。
・自社に興味を持ってくれた方:会食1回まで許可
・選考希望の方:会食2回まで許可
・内定獲得の方:会食3回まで許可
・選考お見送りの方:会食3回まで許可
このような感じです。入社してもらうためのグリップする場として会食は必要ですし、一方で選考お見送りとなってしまった方に対しても、丁寧なフォローが必要なので、会食実施は有効です。
リファラル採用を推進するために、専門コンサルタントに依頼するやり方もあります。弊社トラフォールパートナーズはリファラル採用を推進するためのサポートを行っております。まずはどのようにリファラル採用を推進したらいいのか、というきっかけをつかむためには、コンサルタントに依頼する事は有効な手段と言えます。
料金としては、期間・コンサル人数などによって様々ですが、50万円前後/月が相場です。人材紹介会社を活用した時と比較しても、かなり費用を抑える事が出来ます。また社内にノウハウがたまるので、良いコンサルタントに依頼できれば、中長期的にはかなり費用対効果が高くなります。
注意すべきなのは、コンサルタントがいる間はリファラル採用が上手くいっているが、コンサルタントがいなくなったら、リファラル採用の成果が出なくなってしまうケースです。原因としては自社にリファラル採用のノウハウが蓄積出来ていないにもかかわらず、コンサル契約を打ち切ってしまう事にあります。
自社内で、リファラル採用チームを創設して、社員が社内コンサルタントとして動けるようになれば、コンサルタントがいなくなっても、成果は出続けます。コンサルタントを活用する際には、最後自社が自走出来る状態までサポートしてくれる会社に依頼しましょう。
リファラル採用をする上では注意すべき点もあります。会社内でのフォロー体制の構築や、職業安定法という法律を理解する必要があります。
リファラル採用を推進するうえで、意図せず法律違反になる事があるので注意が必要です。それは『紹介に対して、高額な支払いをする』ケースとなります。高額とは明確な定めはありませんが100万円を超えた場合は注意が必要です。リファラル採用の報酬金額は平均10万円~30万円程度です。
数万円程度であればあまり問題視される事は少ないですが、いずれにせよ必ず意識しておくべき観点が3つあるので紹介します。
まずは一つ目ですが、『リファラル採用が何故違法になる可能性があるのか』という事です。これは職業安定法40条を必ずチェックしてもらえれば理解できます。
(報酬の供与の禁止) 第四十条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない
この法律から読み取れる事は、採用活動において報酬を社員に与えることは駄目、という事です。しかし、リファラル採用を全社員の通常業務として定め、評価制度に組み込む事でその分の対価を支払う事は許容されています。つまり、ボーナスや昇給として報酬を支払うという事です。
次に二つ目。『違法にならないためには、何をすればいいのか』という事です。答えとしては、社員に支払われる賃金が規定されているのと同様に、リファラル採用での報酬内容を、雇用契約書・就業規則に追記するという事です。
最後三つ目の観点としては、『いくらくらいなら報酬として支払っても問題ないのか』という事です。明確な金額は定まってませんが、一般的に報酬金額の目安は10万円~高くても50万円以内におさえる事が理想です。人材紹介会社や求人掲載サービスを利用した際にかかる金額を超えない範囲で設定するという意識を持つことが重要となるでしょう。
社員の通常給与を超えた金額など、あまりにも高額な報酬を支払ってしまうと、賃金・給与に準ずるものとみなされない恐れがあります。最悪の場合、職業安定法65条6号違反とみなされ、懲役または罰金に処せられる可能性があります。
リファラル採用を進める際には、会社に所属する全員の協力が必要です。そこではリファラル採用を進めるにあたっての制度作りが重要となります。
制度作りをする上で、一番重要なスタンスは『紹介してくれる社員を、会社が全面的にバックアップする』ということです。積極的に紹介してくれる社員は、通常業務に加えてリファラル採用業務をこなす事となります。そのため、会社からは感謝を込めたサポートをしないと、「別に紹介しなくてもいいかな」と社員は感じてしまいます。社長や役員など、経営層から紹介者に対して直接お礼を述べる事も有効となります。
具体的なルールとしては、例えば下記のような内容が考えられます。
例)リファラル採用制度におけるルール
・紹介者は、対象者に自社を推薦する場を用意出来る。事前申請すれば、会社のブース利用や、会食の活用は、積極的に許可する
・紹介によって晴れて入社に至った場合、当紹介者には謝礼金が支給される
・仮に紹介して応募となった人材が不合格であったとしても、紹介数としてカウントされる
・年間で一番貢献度が高かった社員に対しては、社長から表彰される
・特に人手不足の求人に対して紹介をし、入社となった場合は通常の謝礼金に加えて特別支給をする
・リファラル採用活動に必要な経費は、事前申請をする事で認められる
このように、リファラル採用活動におけるルールを設定する事で、社員のモチベーションにもつながります。会社の状況に応じて、どのようなルールが必要なのかを見極める事が重要です。
周知することをないがしろにしている会社が散見されますが、まず最初にリファラル採用を社員に知ってもらう事から始めましょう。リファラル採用の成功のカギは、自社の社員の協力にかかっています。周知の仕方は様々ですが、会社方針として社長の言葉で伝えることは有効です。出来れば1回は社長から直接全社員に向けて周知する機会を設けましょう。
全体周知が終われば、社内メール・掲示板など全社員が気軽に閲覧出来るツールを使って、改めて発信します。
これだけでは不十分であり、会社としてリファラル採用チームを創設するか、人事部にてリファラル採用担当を任命しましょう。そして日々メールや会議にて、リファラル採用担当者からリマインド・事例の共有を進めましょう。リファラル採用担当者は、各部署の管理職を積極的に巻き込み、現場へ落とし込みを図ります。
随時リファラル採用について考え、情報を共有する事で、中長期的に社員はリファラル採用が会社の文化であると認識し、自然と紹介数も増えてきます。
リファラル採用は、内定を前提としていないので、時には不採用となるケースがあります。その際、紹介者の顔を立てながら、また紹介者と応募者の関係性に傷をつけないようなフォローが必要です。
もし不採用となった場合、紹介者に対しては、何故不採用となったのかを詳細に共有し、改めて紹介してくれた事に対しての感謝の意を述べます。応募者に対しても、自社に関心を持ってくれたことへの感謝を伝え、いつも以上に丁寧にお断りの連絡を入れましょう。紹介者と応募者とも、時間を割いてくれたことに対しての御礼として、経費での会食を許可するなども有効です。
こういったフォロー体制も社員に事前にきちんと周知する事で、紹介する側も不安要素を減らすことが出来ます。
リファラル採用目標を設定した場合、追うべきKPIも設定しなければなりません。そこで注目すべき指標は下記の4つです。
まずは母集団形成をしなければなりません。リファラル採用に協力してくれる社員を集います。そのためには徹底した日々の周知を行い、会社にとってリファラル採用が重要施策である事を認知させなければなりません。
月ごとに何名を紹介してもらうのかを設定します。紹介数が減っていれば、都度依頼をしながら、リファラル採用チームを編成し、改善策を練っていきます。
紹介数を上げるためには、一人当たりの紹介数も増やさなければなりません。どうすれば紹介しやすい環境が作れるのかを試行錯誤しながら、一社員につき、複数の紹介を受けられるようにしましょう。
決定率を上げるためには、内定辞退を避ける事・選考にて不採用となる人材を減らす事が重要です。前者の場合、自社の魅力を伝える工夫をしていかなければなりません。後者の場合、会社が求めている人材を社員が正しく理解している必要があります。
リファラル採用は社員の協力によって成り立つものです。そこでは気軽に紹介してくれる環境作りも非常に重要となります。
リファラル採用では、紹介者は自らの友人・知人を自社に紹介します。自社に魅力を感じていないと、決して自社をお勧めする事はありません。そのため、日々社員エンゲージメントを高めるために、社内環境・人事制度などあらゆる角度から施策を打っていかなければなりません。
また紹介したい人材がいたとしても、手続きが面倒であれば、紹介数は減っていきます。紹介したい人材がいたら、メールや電話でリファラル採用担当者に相談すれば、そのあとの対応は全て行ってくれるなど、紹介者にとって負担にならないような仕組みを作りましょう。
リファラル採用に協力してくれた人に対しては、会社から報酬を与える事は有効です。また社長や役員から直接表彰や感謝の意を伝える事も、社員のモチベーションアップには有効となります。社員が「会社の為になっているな」と実感できるように、報酬制度を設計し、御礼する事が重要です。
これまでリファラル採用のメリット・デメリットや報酬相場・注意点など様々述べてきましたが、結論としてリファラル採用は今後どの会社でも必ず必要な取り組みとなってきます。
人材不足・採用競争は今後もさらに激しくなってくる中で、全企業が同じ土俵で戦っていては、名が知られていない会社やリソースが少ない中小零細企業は負けてしまいます。リファラル採用は単独の土俵で、優秀な人材に向き合って取り組める施策です。会社を成長させていくためには、不可欠な取り組みであると言えるのではないでしょうか。
プロ人材(CxO・専門職)の転職相談を3,000名以上実施している弊社では、リファラル採用を推進するためのサポートを行っております。
リファラル採用に関するご相談・お問合せはこちらからご連絡ください。