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新人研修にも使える!社員教育のやり方「ナレッジマネジメントを含めた3つの方法」

会社経営においては、戦略を立案し、施策内容を検討・実行していかなければならない。施策の一つとして『社員を教育する』事があげられる。それでは、どのように社員を教育すれば良いのか。

社員教育としては、

 ・ナレッジマネジメント
 ・OJT制度
 ・資格取得制度

が考えられる。それでは各々解説していく。

ナレッジマネジメントについて


まずはナレッジマネジメントとは何か。定義と目的について解説していく。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、言葉の通り『知識を管理』する事を指す。社内のノウハウや情報を、社員が効果的に活用する事で、生産性向上や新たなサービス創出につなげるような管理体制である。

職人技で仕上げる製品や、コンサルティングサービスを行う会社は長年の経験や知識で顧客に価値を提供している。しかしこれは非常に感覚的なものであり、暗黙知と言える。日本はこの暗黙知の経営体制を敷いている会社が多く、新人社員が入った際に、せっかく存在する社内のノウハウを上手く活用出来ていない。アメリカなどは非常に論理的な思考を持っており、どのようにすれば成果が出るのか、という情報やノウハウを言語化・可視化して社内に蓄積している会社が多い。そのため、未経験者にとってもキャッチアップできる土壌があるので、成果を上げるまでの期間を短縮する事が出来ている。こういった形式知の経営体制をアメリカでは取り入れているのだ。

つまりナレッジマネジメントとは、
暗黙知を形式知にして、最終的に組織知(社内で共有している状態)に持っていく事だと言える。

ここで「うちの会社はノウハウをため込んでいるから大丈夫だ」と思う経営者の方もいるかもしれないが、それだと不十分である。

まずナレッジマネジメントでやるべき事・目的は下記のようになる。

既存業務の成功例・失敗例・ノウハウ・経験の蓄積だけでなく、コミュニケーションの場を設置したり、社内全員がナレッジ共有の重要性を認識しており、結果的にナレッジを上手く活用した社員が生産性が向上し、新規事業が創出される事

ナレッジはため込むだけではだめ。ナレッジをどのように理解してもらうのか、どのように使うのか、まで追求していかなければならない。

ナレッジマネジメントを実践する方法

それではどのようにナレッジマネジメントを実践するのか。下記の順序に従っていただきたい。

【順序】
①社長直下で、専門チームを作る
②トップラインから、ナレッジ共有~実践の推進を通達
③企業風土・人事制度からナレッジマネジメント文化を醸成させる
④共有の場・環境の整備をオンライン・オフラインで進める
⑤ナレッジを活用した業務推進・KPIの設定

社長直下で専門チームを作る

ナレッジマネジメントを進める際には、現場主導ではだめ。個々の部署ごとに進めると、部署内でノウハウ共有が完結してしまうため、社内全体で浸透しない。また現場主導であれば、管理者も現場レベルの人間であるため、目の前の業務を優先してしまい、十分なマネジメントが出来ないという状況になる。

つまり、社長直下で企業内に専門チームを作る事が理想。ナレッジマネジメント推進担当として、数名の社員が通常業務と兼務しても良い。ポイントとしては企業全体として、ナレッジマネジメントを推進している事を社内が認識すること。そのためには、社長から落とし込む必要があり、専門チームがあるだけで、「本気で推進しようとしているんだな」と社員も感じる部分があると思う。

トップラインから、ナレッジ共有~実践の推進を通達

次にやるべき事は、社長から会社全体にナレッジマネジメントの推進をする旨を正式に通達する事だ。仰々しいと思うかもしれないが、会社施策としてあらたまって進めます、と伝えるだけでも社員の認識は変わってくる。そのため、社長や役員レベルから、ナレッジマネジメントの重要性と目的を、朝礼・会議内でもきちんと伝える事が大事。

企業風土・人事制度からナレッジマネジメント文化を醸成させる

ここからは専門チームが主導となって実践していく内容となる。ナレッジマネジメントの成功は、社員の協力にすべてがかかっている。その為、社員が進んでノウハウを共有する環境を作っていかなければならない。社風を変えていくのだが、社風とは非常にあいまいなもので、後追いが出来ない。その為、制度を変化させて、社風を変えていく。

そこで注目すべきなのが、人事制度である。『等級制度』『評価制度』『報酬制度』を見直していく。


【参考情報】等級制度・評価制度・報酬制度とは
等級制度:等級とはランキング・序列を指す。つまり何が出来る人が偉いか、を定めた制度。3種類『能力』『職務』『役割』に分けられる。『能力等級』とは、浅く広く出来る人が評価される。長年会社に勤める事での経験も評価対象となる。日本独自の終身雇用制度は能力等級にあたる。『職務等級』とは、成果だけを見る評価方法。アメリカなど欧米で取り入れている事が多い。属人的な要素を徹底して除いている。『役割等級』とは、能力等級と職務等級のハイブリット。成果だけでなく、組織をまとめる力など、総合力も加味されて、等級を決める。
評価制度:各社員が何をする事で貢献した、とみなすのかを定めた制度。数値評価だけでなく、態度・姿勢も含めた評価がある。評価者は上司・360°評価(複数の社員評価)など様々。
報酬制度:給与はいくらになるのかを定めた制度。『勤務年数に応じて給与が決まる』、『等級によって給与が決まる』、『どんな仕事内容かによって給与が決まる』、『成果だけを見て給与を決める』の4パターンがある。


上記の制度の評価対象として、『ナレッジマネジメントへの貢献度』を設定する。数値化しても良いし、前向きな姿勢を評価としても良い。制度として設定する事で社員への認知度は上がる。

共有の場・環境の整備をオンライン・オフラインで進める

これまでは土台作りだったので、ここからは実際にノウハウを共有する手段について解説する。
よくある例が、「社内でノウハウをためるためにフォルダを作ってます!」といった施策。これまでの順序を経てやっとこのフェーズに至る事を認識頂きたい。

さて共有の手段だが、オンライン・オフラインで環境を構築していこう。

オンラインでは、『社内メーリングリスト作成』『掲示板の設置』『フォルダへの情報格納』が考えられる。いずれも社員にとって目につきやすく、使いやすい方法をとってもらいたい。

オフラインでは、対面での会議設置・フリーアドレスが考えられる。対面のほうが、意図する情報が伝わりやすいので、出来るだけ定期的に実施した方が良い。

ノウハウの共有のコツだが、カテゴリーに分けてあげる事が大事。後で見直す際に、どの情報が必要かが分からないからだ。カテゴリーとしては、例えば『初心者向け』『経験者向け』『〇〇業務について』『役職ごとの情報』など。ノウハウの内容は、すぐ実践できる事で、なるべく具体的に作成する事。ナレッジマネジメントの目的は、ノウハウをためる事ではなく、ノウハウを活用して成果を上げ、新たなノウハウを創出する事だからだ。

ナレッジを活用した業務推進・KPIの設定

最後に継続性が必要となるので、後追い作業を行わなければならない。専門チームからのリマインドや、効果が出た事例の共有を定期的に行う。また数値化出来る事に関してはKPIとして設定して管理していく。例えば週1回ノウハウを共有する、などだ。

ナレッジマネジメントは実践する事でどのような効果が出たのか、という分析がしにくい。また、短期で効果が出るものではなく、長期的に継続して行う事で、会社の知的財産となり、強い会社となっていく。そのため、多くの会社では、やりたいけど出来ていない、という状態に陥っている。人材流出によって会社業績が落ちたり、成果が属人的になりすぎると、不安定な状況が続く事になる。そうならないように、ナレッジマネジメントの観点は非常に重要であると言える。

OJT制度について


OJTとは、実際の業務を通して知識やスキルを習得する育成方法のこと。OJTは是非実践して欲しい。ポイントは下記にまとめる。

【OJTを行う上でのポイント】
・トレーナーは複数人用意する
・OJT対象者に何を学んだのか・実践したい事を報告させる
・初期OJT→中間OJT→最終OJTとフェーズに分ける

トレーナーは複数人用意する

人はそれぞれ強み、弱みがあるので、会社としてはまずOJT対象者が自身の強みを活かして成功体験を作る事を優先していかなければならない。自身の強みを探るには、色々なトレーナーに帯同して、色々なアプローチ方法がある事を知らないといけない。そこで「自分にはこのやり方はあってそうだ」と感じる事が重要である。また、一人のトレーナーだけのOJTとなると、考え方の幅が狭くなってしまう。そのため、多角的な思考やアプローチ方法を学ぶために、色々なトレーナーに帯同する事が必要だ。OJT対象者が会社になじむためにも、色々な社員と交流する事は効果的だ。

OJT対象者に何を学んだのか・実践したい事を報告させる

OJT終了後にフィードバックを行って欲しい。OJTの目的は、いち早く会社に貢献出来る人材を育てる事だ。何を学んだのか・実践したい事をフィードバックしてあげる事で、OJTの効果が倍増する。ポイントは実践する内容を決める事だ。分かる事と出来る事は違うので、出来るレベルまでもっていく必要がある。

初期OJT→中間OJT→最終OJTとフェーズに分ける

OJTはやみくもに行うと効果が半減する。出来ればフェーズに分けて実践して欲しい。

まずは初期OJT。OJT対象者は何もわかっていない状態だと思うので、初期OJTの目標は『業務イメージを持たせる事』が中心。出来れば『どうすればキャッチアップ出来るのか』『今後実践すべき事』も決定していく。回数としては、毎日でもOKで、1週間~1か月程度かける。

次に中間OJTについて。中間OJTの目的は、初期OJTで学んだことを実践で活かしたうえで、判明した改善点をどのように解決していくのかを分析する事。より具体的に『〇〇に関連した案件にOJTしたい』とニーズを明確にしたうえで実行する。自分の解決策をイメージ出来るまでOJTを通して学んでもらう。大体1か月程度実際の業務を行ってから、中間PJTを行う。

最終OJTについて。ここでは全体の確認作業となる。数か月実践に入ったうえで、新たに生じた改善点や、全体の確認の為に実施する。状況に応じて、回数は1回でも問題無い。

このようにOJTは初期OJT→中間OJT→最終OJTと分ける事で、OJT対象者も学びが変わってくる。ちなみに初期OJT→中間OJT→最終OJTと実施すると、トレーナー側の負担が大きいかと思われるが、基本的に業務帯同するだけでOKなので、直接教える時間は設けなくても効果はある。

資格取得制度について


会社の福利厚生として資格取得制度を取り入れる事で、社員のスキルアップにつなげる事が出来る。ちなみに資格取得制度があるだけで、会社のイメージ・ブランド向上にも役立つ。

自社のビジネスに必要・有利になる資格を対象に一部受験料を補助するか、合格祝い金を設定する。社内制度にも関わる部分なので、よく検討してメリットを感じられる場合は資格取得制度も検討して欲しい。補助金の相場は3,000円~20,000円がボリュームゾーンだ。

以上、社員教育には様々な手段がある。社員教育制度が整っている会社は、入社する側からしても安心感がある。そのため、長期的な目線での効果は必ずあるので、実践していただきたい。

まとめ

今回は「新人研修にも使える!社員教育のやり方「ナレッジマネジメントを含めた3つの方法」」ということで解説してきました。
社員教育は、ナレッジマネジメント・OJT制度・資格取得制度が考えられますが、各部署・会社の取り入れ方によっては、新人研修にも使える教育方法になりますので、是非参考にしてみてください。

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